代表インタビュー

ipoca代表インタビュー

世の中にない新しい価値を仲間と造りだす。 代表取締役社長 一之瀬 卓

「世の中にない新しい価値を仲間と創りだす」

こんにちは!ipocaでインターンをしている増山といいます!
今日は、みなさんを代表してipoca代表の一之瀬さんにいろいろと質問をしてみたいと思います。

こんにちは!さっそくですが質問です。
いま流通業界の内外から大変注目を浴びているipocaですが、そもそもこの会社のルーツについて教えてください。

起業のきっかけは大学時代にさかのぼります。大学入学後サークルに入ったのですが、規律ばかり重んじてチャレンジ精神がないのがつまらなかったんです。だからイベントサークルを作りまして。

ないなら作ってしまえば良いと(笑)

えぇ。それで『高校時代の制服を着て集合&飲み会』など面白い企画をポンポン打ち出していたら、半年ほどで大学一大きいサークルになって、某企業の新商品とのコラボイベントを成功させるなど、実績を重ねていきました。(このとき発案したイベントは現在も日本を代表する企業がスポンサードする一大イベントとして我が国に定着している)

すごい大学生ですね

いえ、成績のほうはあまり良くなかったですね(笑)。でもその過程で、”世の中にない新しい価値を仲間と創りだすこと”の喜びを実感し、その面白さに目覚めて起業家になることを志しました。

「恩師との出会い」

起業家である前に税理士もされているとか

はい。大学卒業後、会計事務所に就職しました。その後、27歳の時に税理士の資格を取得、29歳で独立しました。 現在、会計事務所の経営もしていますが、運営は全て部下に任せています。

おぉ。税理士を志したきっかけなどは?

大学2年生のとき税理士であり起業家でもある山田長満先生(現川崎商工会議所会頭、ipoca監査役)にお会いしたことをきっかけに、起業家へのステップとしてまず税理士を目指そうと考えました。

では卒業後はずっと会計事務所で働いていたのですか?

いえ、独立するまで会計業界でずっと下積みをしていたわけではなく、スポーツジムのインストラクターをしていた時期や、時には視野を広げるためにバックパッカーをして世界を旅していた時期もありました。

様々な経験をなさられたんですね。そして独立?

はい。独立してからは、税理士事務所経営の傍ら、商店街など地域のお店の課題を解決するための勉強会を主宰していました。いま考えると勉強会というカタチをとりながら、店舗経営者と消費者の間にあるニーズを探っていたのだと思います。

そのため、勉強会の名前は、“地域の人々と店を繋いで情報を一本化(イッポンカ)する”ことからipoca(イポカ)と名付けられました。それが、株式会社ipocaのスタートへと繋がって行きます。

「きっかけは小さな豆腐屋」

株式会社ipocaがスタートしたきっかけは?

実は、ある小さなお豆腐屋さんの存在がきっかけです。 当時、私の会計事務所のクライアントに、近所の小さな豆腐屋さんがあり3代目となるご夫婦が切り盛りをしていました。 朝5時に起きて、国産の大豆とにがりを使ってとても丁寧につくる上品で美味しいお豆腐が自慢でした。

とてもおいしそうなお豆腐ですね

はい。でも、実はクライアントになるまで、私はそれほど美味しいお豆腐が近くで売っていることも、その豆腐屋さんの存在自体もそもそも知りませんでした。そして私同様、街に住む多くの若い人たちにもほとんど知られておらず、店のお客さんは近所のお年寄りなどに限られていました。

そこで私は地域で会う人たちにその豆腐屋さんの存在を教えるようになったのですが、皆とても喜び笑顔になっていました。

皆が喜んでくれると嬉しくなりますよね

はい。そこで、地域の店頭で売っているものやサービスと、地域の消費者のニーズとのミスマッチに課題が有ると感じました。そしてそれをテクノロジーで解決しようと考えました。 それがFelica搭載の携帯電話を用いたタッチ式の販促システム「タッチャン」を考えたきっかけです。

「3年間無給」

起業した当時苦労したことなどありますか?

起業してから3年間は事業が思ったようになかなか進まず非常に苦しみました。 当時は携帯電話を使った販促システムが世の中になかったこともあり、まずは「タッチャン」を人々に理解してもらわないといけないためとにかく時間がかかりました。 3年間自分の給与はゼロでした。

え!3年間無給ですか!?

一時はスタッフの給与も払えなくなったため、税理士事務所から借りて支払ったり、それでも払えなくなると個人で借入をして払ったり…

そのような状況になっても頑張れた理由はなんですか?

ミッションの実現を果たすという強い想いがあり、必ず軌道に乗ると信じていたからです。 そして、ついに3年目の終わりごろタッチャン導入店舗が損益分岐点である600店舗を超え、その後は増収増益の軌道に乗せることができました。 その後「タッチャン」は5年目には1500店舗へと拡大しました。

「失敗から学んだ3つの改善策」

現在はスマホに特化した販促サービスである「NEARLY(ニアリ)」の導入が7000店舗に達するなど、ipocaは順調に実績を積み重ねています。この理由をどのようにお考えでしょうか

「タッチャン」の後継サービスが「NEARLY」です。「タッチャン」の豊富なノウハウと実績のすべてが「NEARLY」へと引継がれています。 さらに「タッチャン」には様々な課題もあったため、「NEARLY」ではそれら全てを解決することを目指し3つの革新的な改善策を導入しました。

3つの改善策と言いますと?

・エリアカバレッジ概念とドミナント戦略 ・プラットフォーム化 ・多層レイヤーのコンテンツ連携システム です。

その結果、「タッチャン」が5年で1500店舗の普及であったのに対して、「NEARLY」がたった1年間で7000店舗という爆発的な普及が実現したのだと考えています。

「世界で初めて店頭情報の可視化に成功」

「タッチャン」から「NEARLY」への進化はまさに店頭情報プラットフォームの先駆けであるipocaならでは独擅場ですね。サービスとして何がどのように変わったのか、テクノロジーという観点も加えてもう少し詳しく教えてもらってもいいでしょうか?

まず、「NEARLY」サービスにおいて、先ほどもお話ししたエリアカバレッジという概念を導入しドミナント戦略を採用したことです。 「タッチャン」時代の導入店舗は全国各地に分散していました。そのため、コンテンツやエンドユーザーも分散してしまい、結果として商圏における販促マッチング効果も薄くなっていました。そこで「NEARLY」ではスタート時の導入エリアを限定することで、導入店舗とエンドユーザーを集約させることに成功しました。 それにより販促マッチング効果を高めることができたのです。

密度を濃くしてサービス利用価値を上げたと

そうですね。さらに「NEARLY」では、基本的なシステム構造から徹底的に練り直しました。そして、小売流通業界の多層レイヤーごとにバラバラに存在する店頭情報を集約できるプラットフォームとして設計しました。 実は、小売流通業界は、メーカー、卸、デベロッパー、プロパティマネージャーなどたくさんの種類の企業が集まった多層レイヤーで複雑に構成されています。そしてその企業ごとが、消費者にとって有益な店頭情報を保有しています。(例えば、価格、在庫、サイズ、色などの商品情報、セール情報、イベント情報など) 情報源がバラバラだから、今までは誰もそれを収集したり整理したりすることがありませんでした。それをNEARLYがテクノロジーを駆使して、縦横無尽に情報を集めてきて、ひとつのプラットフォームのなかで可視化することに、世界で初めて成功したわけです。

「今後1000年のリアルな購買活動を変える」

ここで、逆に質問してもいいですか?

え?急になんでしょう(笑)?

リアルな店舗でのお買い物するスタイルって何年前からあると思いますか?

えーと、うんと、2000年前くらいとか?

「惜しい(笑)。2700年前からです。リアルな店舗でのお買い物は、貨幣が誕生した2700年ほど昔から 取引スタイルがほとんど変わらないオールドエコノミーの世界なのです。 そこ(店頭)にいき、「おばちゃん、ソレとコレちょーだい」っていうやつ(笑)」

2700年も前・・でも確かに言われてみればお買い物のあり方は昔から変わらないですね。確かに江戸時代も今もほとんど変わってない

そうなんです。唯一、IT化が進んでいるのはいわゆるネット上の販売(エレクトリックコマース:EC)ですが、実はその規模は意外に小さくて、例えばアパレル業界ではEC化率は5%程度です。 つまり9割以上はまだまだリアルな店舗で購買をしていて、今後もそれほどは減らないだろうと言われています。その理由は、「実際に見て、触って、試着をしてから買いたい」という消費者のニーズが根強いからだと考えています。


マンガ「リアルコマーステックが描く未来」より

なるほど、確かに私もそうかも。服は試着してから買いたいです

じゃぁ、リアル店舗の販売が多いということは、実はアパレル業界はほとんどIT化が進んでいないということですか?

そうです。店頭での販売(リアルコマース:RC)は、ネット上の販売(EC)に比べて20倍も市場規模が大きい市場なのに、ほとんどIT化が進んでおらず、古い取引システムのままというのが実態です。 例えば、欲しい商品を探そうとしたら、実際に店舗まで出向き、棚から商品を探す必要があります。これはECに比べて格段に「検索性」「一覧性」に欠けており、効率がとても悪い状況です。我々はそれを「リアルコマーステック」により情報革命を起こそうとしています。

ipocaとヤフー業務提携の記者発表資料より

それはちょっと興奮します(笑)。ところで「リアルコマーステック」とは何なのでしょうか?

「リアルコマーステック」は、あらゆる企業や業界の店頭情報や決済、物流などを含むサプライチェーンマネジメントと 統合を図るテクノロジーとも言い換えることができると思います。 現在、我々はそれを多くの企業と実行し、あるいは実行する段階に来ています。 個別のテクノロジーとしては、世界中に散らばる多層レイヤーの複雑な店頭在庫データベースを自動連携させるためのテクノロジーや、新しい屋内位置情報測位システムによる情報発信テクノロジー、人々の消費行動のログ解析をベースとした人工知能によるレコメンドテクノロジー、ロジスティクス連携テクノロジー、多種多様な決済システムとの連携テクノロジーなど様々です。

「個を尊重し、一人ひとりが持つ力を生かせる組織」

ipocaという会社の特徴と強みについて教えてください

一言で表すと「強い想いを持ったチーム」です。」全員に共通しているのは、ミッションを実現するんだ、という強い想いです。

ipocaの普段の風景(飲み会)より

ipocaのミッションとは?

我々のミッションは【リアルコマーステックで、店頭でのお買い物に革新を起こし、人々の笑顔を増やす】です。 そして、ミッションの実現により「今後1000年のリアルな購買活動を変える」という強い想いを皆が持っています。 この想いが成長の原動力になっており、また自分たちなら成し遂げられると信じています。

会社全体が一丸となってミッションを成し遂げようとしているのですね。 そのために気をつけていることなどありますか?

個人を尊重し、一人ひとりが持つ力を生かせる組織を目指しています。 実は私は大きな組織で働いた経験が無かったため、組織作りというものが以前は苦手でした。 組織を作らずひとりでぐいぐいと進んでしまうため、皆が着いて来られずすぐバラバラになってしまう(笑)」

そうだったんですね(笑)なぜ今のようにまとまりのある会社になったのですか?

副社長の山本がジョインして変わりました。彼は大きな組織で働いていただけでなく、強い組織作りの経験も豊富であったこともあり、個を尊重しながら結束力のある強い組織を作れるようになりました。

ビジョナリーを語る一之瀬さんと、現実をまとめる山本さんのコンビがipocaを牽引しているのですね

そうですね、一之瀬と山本のバランスの良さってなかなかすごいと自分たちでも思っています(笑)。 もともと友達だったので何でも本音で言い合える。仕事で議論していると、たまにほとんど喧嘩のようになるときもあるけど、お互いに尊敬し合っている仲だし、お互いにもう大人なので、うまく収まる(笑) そして、経営においては、私が社内外で夢やビジョン、時には巨大妄想を語り(笑)、山本が組織を活き活きとしたものにまとめあげる。 そうした役割分担がきちんとできているのはipocaの強みと言ってよいと思います。

代表の一之瀬と副代表の山本

「我々は必ず勝つ戦い方をする」

ビジネスモデルもとても良いと感じていますが、いかがでしょう?

我々のビジネスモデルの大きな強みは、安定した土台のうえに、さらに大きな事業展開ができるように きっちり計算されていることだと思います。

私は税理士というキャリアも影響しているのかもしれませんが、よく「必ず勝つ戦い方をしよう」という話をします。 どういうことかと言うと、「どんな状況にも対応できる潰れない会社」であり、かつ「未来を見据えることで非常識なほど成長する会社」でありたいということです。 ipocaは今年で10期を迎えます。よく会社の10年後の生存率は6%程度と言われていますが、我々は94%のほうに入らないためにはどうするべきか、について日々考えてきました。そして潰れないだけではなくて、未来を見据えて非常識なほど大きく成長するビジネスモデルを考えてきました。

どのような土台作りをなさったんですか?

まずコツコツと売上を積み上げるベースの部分をしっかり設計し、そして本当に作りました。 それがNEARLYのベースの売上ですね。これはタッチャンより遥かに早いスピードで導入が進んだおかげで既に収益化できており、おかげで安定的な経営のための足場ができました。 そして、そのうえに、大きく将来が広がる、つまりスケールするビジネスモデルもきちんと構築してきています。 それがいま進めている「リアルコマーステック」の領域です。

「リアルコマーステック」の展開のためもNEARLYを先に作ることがとても重要だったように見えますが?

まさにその通りです。実はNEARLYを通じて、我々は日本中の商業施設やリアルな店舗から収集する日本最大級・唯一の店頭データベースを保有しています。その蓄積された莫大かつ最新の店頭情報データがあるからこそ、我々は「リアルコマース」の分野で様々なビジネス展開ができるわけです。 例えば、1月18日に六本木ヒルズで記者会見をしましたYahoo!との提携もそうですし、他にも関西電力やジャパンショッピングツーリズム協会との事業提携なども、我々が独自のデータベースを持っているからできることです。 そうしたデータベースを持っているからこそ、今後、「リアルコマーステック」により「オールドエコノミー」だった決済や取り置きなどのサービスを画期的な仕組みへとリプレイスすることができるようになるわけです。 たとえばアパレル業界の市場規模だけでも「EC」0.8兆円に対して、「リアルコマーステック」16兆円あり、さらに関連する市場もさらに多くあります。 こうした市場に対し我々が次々に変革を起こしていこうとしています。

どういう人と一緒に働きたいですか?

それはもう我々のミッションに共感してくれて、リアルな購買活動の“未来”について一緒に考えてくれる人、に尽きますね。 ipocaの組織は、個人の考えを尊重した組織です。だからこそ、自ら考えて行動できる方は大歓迎です。 また、「リアルコマーステック」という考えのもと、決済や物流など既存の仕組みを根っこから変えていくことに挑戦していくのですから、それだけに、チャレンジ精神も求められます。新しいことに挑戦するのは楽しいことですが、同時にとても大変で辛いことでもあります。それを楽しみながら一緒に乗り越えていける強い気持ちや想いを持った人にぜひジョインして欲しいと思っています。

最後に一言メッセージをお願いします

まず、興味を持ってここまで読んでくれたことに感謝いたします。 「今後1000年のリアルな購買活動を変える」という私たちの活動は一見すると壮大に思えますが、将来の実現に向けた具体的なステップをきちんと考えて実施していっています。もし興味をお持ちでしたら、その実現性も含めて直接お伝えする機会をいただければ幸いです。 世の中に新しい価値を生み出すことは簡単ではありませんし、本当に大変なことです。それでも、実際に作り上げていく過程にはやりがいを感じられ、思考がクリエイティブになっていきます。ipocaには、このように個人として成長できる環境があるだけでなく、会社の急成長にも立ち会えるチャンスがあります。 皆さんと一緒に日本のリアルな購買活動のあり方にイノベーションを起こし、実現させていく瞬間に立ち会えることを心から楽しみにしています。

プロフィール

株式会社ipoca代表取締役 税理士 横浜国立大学非常勤講師 専修大学経営学部卒 経営コンサル会社株式会社JAC、荻原会計事務所にて、税務顧問・経営指導・資本政策及び融資支援・助成金支援業務に従事

2003年〜現在 一之瀬税務会計事務所設立。所長就任。現職 ベンチャー企業、中小企業から外資系企業、大手企業など多岐にわたるクライアントの成長ステージに合わせた支援や、 多くのJリーガーなどアスリートの税務・法務・資産形成のサポートを行う会計事務所の代表を務めている
2005年〜2007年 様々な業種業態の経営に関与する機会が多い税理士の仕事を通じて、店頭情報の可視化の重要性に気付き、商店街の人々とリアル店舗のマーケティング勉強会を主宰
2007年〜現在 勉強会が法人化する形で、マーケティング支援会社株式会社ipocaを設立 同社代表取締役社長就任。現職
執筆 「残されたターゲット【ホット・ライトユーザー】と【インバウンド客】の取り込みについて」「ショッピングセンターの販促新時代‐ケータイ販促の勢いが止まらない‐」「SCタッチャンが実現する【顧客密着化】と経営課題の解決」「芸能人の確定申告対策」等がある